上地 裕作
・神楽坂 江戸川橋パーソナルジムGAIN 代表
・JBBF 2018関東メンズフィジーク選手権 準優勝
・ベストボディ・ジャパン2017東京オープン大会 ミドルクラス グランプリ受賞
・得意分野 ボディメイク、ダイエット
ジムで器具やマシンを使って行う筋トレや自宅で行うプッシュアップ、スクワットのような自重で行うトレーニングを無酸素運動というのに対し、ウォーキングやジョギングなど時間をかけて酸素を消費しながら行う運動を有酸素運動といいます。
ダイエットしようと思ったとき、歩いたり走ったりと運動量をとにかく増やせばダイエット効果があるだろうと有酸素運動をしがちです。どれだけ減っただろうとわくわくしながら体重計に毎日乗っても、無慈悲な体重計は毎日同じ数字、場合によっては増えていることもあったりします。それが続くと運動している意味を見失い、結局辞めてしまうのです。このような経験、誰もがあったりします。
そう、有酸素運動に時間をかけておこなったからと言って痩せないんです。
有酸素運動は、動いた分だけカロリーを消費します。これは周知の事実ですが、実はこのコスパが非常に悪いんです。なので、1キロの体重を落そうと思っても想像している以上に運動しなくては落ちることはありません。
今回は、有酸素運動のコスパの悪さについて解説したいと思います。これを読めば、ダイエット目的での有酸素運動はあまり効果がない事実にビックリするでしょう。そして、ダイエットのために何をしていけばいいかが見えてきますので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。
【 目次 】
・水泳
【有酸素運動はコスパが悪い】
有酸素運動はダイエットという観点から見ると非常にコスパが悪い運動になります。このコスパの悪さが有酸素運動のデメリットともいえます。
まずは、このコスパが悪い要因を見てみましょう。
・運動中しかカロリー消費ができない
有酸素運動は体を動かすことで脂肪燃焼させます。そのため、脂肪を減らすためには行いたい運動になります。ですが、運動することでカロリーを消費するわけですから、運動をしなければカロリーは消費されません。
一方で無酸素運動は脂肪燃焼効果を持っていませんが、筋肉量を増加させる目的で行う運動です。筋肉が増加すれば、基礎代謝が上がります。基礎代謝が上がれば、トレーニングしていない休息時でも、体は余分にカロリーを消費するようになります。
さらに無酸素運動では、トレーニング後におまけともいうべきアフターバーン効果があります。アフターバーン効果とは、トレーニング終了後1~3日程度、カロリーを多く消費し続ける効果をいいます。つまりトータルで見た場合、無酸素運動なら運動に割いた時間以上にカロリーを消費し続けてくれるのですが、有酸素運動は運動した量に対してのみの消費ですので、結果的に無酸素運動よりもコスパが悪いのです。
・カロリー消費量が思ったよりも少ない
有酸素運動で消費されるカロリーは、意外と少ないということをご存じでしょうか?1時間歩いたから結構消費しただろうとか、30分ジョギングしたから1kgくらい体重減っただろうなどの幻想を抱き、数値を知って幻滅する方がいるくらい、実は消費カロリーは少ないのです。
60kgの人が30分ウォーキングした場合、消費できるカロリーは95kcal。100kcalに届きません。この100kcalの摂取カロリーは、ご飯であれば子供用茶碗で半分くらいの量です。食パンであれば、8枚切りの2/3程度の量になります。
食べ物の摂取カロリーから見ると、30分歩いて消費できるエネルギー量がかなり少ないということがわかるかと思います。ちなみに、ランニングや水泳の場合、30分で261kcalとかなり多く消費できるのですが、それでも食パン4枚切りで1枚分程度、ご飯なら大人用の茶碗に少し多めに盛った量のカロリー分になります。
このようにしてみると、水泳を30分頑張ったから食べようと思ってご飯をいつもより多めに食べると太るということがわかるかと思います。つまり、消費カロリーが少ないので、運動にかける時間に対し消費される量から見てもコスパはかなり低いと言わざるを得ません。
・筋肉が落ちる
こちらはさらにコスパを下げる有酸素運動のデメリット部分なのですが、有酸素運動を長時間行うと脂肪とともに筋肉も落ちてしまいます。
筋肉が落ちると基礎代謝も下がってしまいますので、運動しているのに痩せにくく太りやすい体になってしまいます。そのため、有酸素運動は行っても30分から1時間の範囲に収まるようにしましょう。
【コスパの悪い有酸素運動】
コスパが悪い理由について解説しましたが、実際にコスパが悪いメニューを解説します。
・ランニング
60kgの人が30分行って消費できるカロリーは261kcalとなっています。ただ、結構勘違いされているのがジョギングとの違いです。ジョギングの場合、消費カロリーはもう少し少なくなり200kcal前後になります。
ランニングはどちらかといえば、マラソンや長距離選手などのトレーニング向けで、かなり速い速度で走り続けるイメージです。ジョギングは一緒に走っている人と話ができる強度です。なので、元々運動が苦手であまり運動もしないという人の場合、30分のランニングなんて無理、ジョギングでも10分持たないでしょう。そのうえ、膝への負担などから故障にもつながってしまいます。
ちなみに200kcalで1ヶ月毎日走ったとして、消費されるカロリーは6000kcalですので、30分毎日走ったからといって、1ヶ月で1kg体重は理論的には落ちません。
・水泳
水泳もランニング同様に60kgの人が30分行って消費できるカロリーは261kcalとなっています。水泳の場合、全身運動であり、水圧の影響を受けるのでもっとエネルギー使っているのではと思うのですが、マラソン30分と同程度のエネルギー量になります。
水泳のコスパが悪いという理由は、有酸素運動のコスパが悪い理由でも少し触れたのですが、運動後にお腹がかなり空くということです。運動して食べてしまうと運動した分は取り消しされてしまいます。
水泳をストレス発散のために行うのであれば気にしなくてもいいのですが、ダイエット目的で行うのであれば、非常にコスパの悪い運動だといえます。
・エアロビクス
60kgの人が30分行って消費できるカロリーは158kcalとなります。ジョギング程の消費カロリーはありませんが、30分頑張って身体を動かしてもたったの158kcalなのです。
やらないよりやったほうがましなんて思うかもしれませんが、毎日30分行っても約4,800kcalと脂肪1kg燃焼させるのに2ヶ月はかかってしまいます。時間をかける分コスパは悪い運動といえます。
【コスパの悪い有酸素運動のまとめ】
コスパの悪い有酸素運動を3種ご紹介しました。ウォーキングが入っていないのではと思った方もいるかもわかりませんが、実は健康効果を考えると他の有酸素運動よりもコスパは悪くないのです。
消費カロリーは低いものの、骨粗鬆症予防や腰痛防止、他の有酸素運動での怪我や故障といったリスクが限りなく少ないという観点から、痩せるための手段としては有酸素運動を選ぶべきではないのですが、健康効果と日々の消費カロリーの上乗せとして考えるとコスパは低くはないのです。
もちろんウォーキングだけで痩せようと思っても30分で約100kcalしか消費できないとなれば、毎日歩いても3,000kcalですので、1kgの脂肪を燃焼させるには3ヶ月かかります。ここでオーバーカロリーの状態が続けば、いくらウォーキングを行ったからと言って痩せる実感は得られないでしょう。
無酸素運動は30分当たり約120kcalを消費できます。これはウォーキングとさほど差はないのですが、筋肉を付けることで基礎代謝向上が見込まれます。つまり、無酸素運動で基礎代謝をあげ、ウォーキングなどの有酸素運動で脂肪燃焼を行う合わせ技を行えば、ダイエット効果が見込まれるのです。
有酸素運動だけで痩せようとするのは不可能に近いことですので、ぜひ無酸素運動である筋トレを日常の中でも取り入れるようにしてみましょう。
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